航空講座

第五回:「航空機の資格」

今回は航空機の資格についてお話します。
そーいえば、飛行機の免許なんて
見たことないですよねー。
まぁ、アメリカみたいに自家用機が普及して
いないから、免許の絶対数が少ないわよね。
どれ位の人が免許を持っているんですか?
そうね、自家用も含めて、
2万人弱程度かしら、しかも、これは
昭和27年の航空復興からの通しの数
だから、現役の人は1万人程度かしらね。
そのほとんどがプロパイロットなの。だから、
純然たるアマチュアパイロットって、ほとんど
居ないのが現状ね。
日本の人口が約1億3千万人だから、
えーと、1万人に一人もいないんですね。
そうねー、アメリカのライセンス保有者が
200万人を遥かに超えているから、
それと比べると悲しい数字よね。
うーん、全然勝負にならないわね。
ま、そんな事で張り合っても意味ないけどね(笑)
確かに飛行機文化は滅茶苦茶遅れてるわね。
航空に関する役人や民間人の理解も乏しいし。
日本は民間ヘリの保有数が世界第三位の国
なんだから、もうちょっとなんとかしたいわよね。

ソレは置いといて、とりあえず資格の
種類について説明するわね。右の表を見て。
まずは航空機の種類から行くわね。
日本で発行されている物は「飛行機」
「回転翼航空機」「飛行船」「滑空機」
の4種類なの。これを見れば判る通り、
飛行機の免許ではヘリコプターを操縦する
ことは出来ません。分類が全く別だからね。
航空機の種類
飛行機
回転翼航空機(ヘリコプター)
飛行船
滑空機(グライダー)


航空機の等級(飛行機)
陸上単発
陸上多発
水上単発
水上多発
あれ?これだけ?ハンググライダーとか
パラグライダーとかは航空機じゃないの?

ええ。ソレは航空機には含まれて
いないわね。あと、この頃流行のULP
(ウルトラ・ライト・プレーン:超軽量動力機)
も、日本の法律では航空機には
入っていないの。その乗り物が「航空機」か
どうかの判別はその機体に書いてある
登録記号を見ればすぐに判るわ。日本の
国籍を有する民間航空機は
必ず「JA」の符号から始まるの。
なるほどー。機体の番号を見れば、
それがどんな航空機か判るんだー。

そうね。でも近年、日本でも「JA」以下の
符号を、数字に限らずアルファベットも
付けていいように法律が改正になったので
この頃は目新しい番号も見かける
様になったわね。
それから、自衛隊機の国際記号は
民間機とは違って、それぞれ
陸上自衛隊=「JG」
航空自衛隊=「JF」
海上自衛隊=「JN」
と定められています。








航空機の登録記号
国際記号 登録記号 航空機の種類
JA 0000-0999 初級滑空機
JA 1001-1999 飛行船
JA 2000-2999 中級・上級滑空機
JA 3000-4999 単発レシプロ機
JA 5000-5999 双発レシプロ機
JA 6000-6999 多発レシプロ機又は
タービン・ヘリコプター
JA 7000-7999 レシプロ・ヘリコプター
JA 8000-8999 ジェット(タービン)機
JA 9000-9499 単発タービン・ヘリ
JA 9500-9999 双発タービン・ヘリ
さて、
次に資格の種類について説明するわね。
右の表のように、
いくつかの種類があります。
あれ?所で「技能証明書」って何?
「免許」じゃないの?
おおっ!?
楓ちゃんいいトコに気がついたわね。
そうなの、さっきから便宜上「免許」って
言っていたけど、操縦士の世界に「免許」と
言うものは無いのよ。
ええ!?
免許が無いってどういう事なんですか?
うん、それはね、操縦士の資格はあくまで
「この人はこの航空機を操縦できる技量が
有りますよ」という事を証明しているに
過ぎないの。航空の世界では、これプラス
「航空身体検査」と言うものを最低年1回受けて、
「航空身体検査証」と言うものを持ってないと、
航空機の操縦は出来ない事になっているのよ。
右がその航空身体検査証よ。
へー、つまり。
「技能証明」+「航空身体検査証」=「免許」
って訳かー。
その通り。
体の具合が悪い人をそのまま飛ばしていたら、
取り返しのつかない大事故になる可能性が
有るものね。
いぶきさぁーん。
所で「自家用」「事業用」は判るんですけど、
「定期運送用」って何ですか?
あ、それね。じゃぁ、それぞれ説明しましょうね。
「自家用」はアマチュアパイロット。
「事業用」はプロパイロット(小型機機長や、
旅客機のコ・パイロット等)
「定期運送用」って言うのは、エアラインの
旅客機の機長が持っている資格なの。
ふーん、なるほど。
ん?この「計器飛行証明」と
「操縦教育証明」ってのは何?
「操縦教育証明」は読んで字の通り、
これは教官の免許です。でも、航空の世界では
必ずしも教官の資格を持たなくても、教官は
出来るの。この資格を待たないと出来ないのは、
何の資格も持たない素人に操縦教育を
行う行為だけね。

「計器飛行証明」って言うのは、
簡単に言うと、飛行機の計器だけを見て
飛行することが出来る資格なの。
つまり、暗中飛行も、雲中飛行でも可能
な資格なの。後、エアラインが運航する上で
不可欠な「計器飛行方式(IFR)」による飛行も
この資格が無いと出来ないの。
えーっと、
じゃぁエアラインで旅客機を飛ばすのには
必ず必要なんですか?
そうね。この「計器飛行証明」が無いと、
エアラインの旅客機は飛ばせません。
機長はもちろんの事、コ・パイロットもこの資格は
必ず持っています。
この他に、「機種限定」と言って、離陸重量が
5・7トンを越える飛行機に関しては、機種ごとに
実地試験を受けて、「レーティング」と云われる
技能証明を受けなければいけません。
えー!?じゃぁ、ジャンボとかエアバスとか、
YS-11とか、機種の変わるごとに新しく
免許を受けないといけないのぉ!?
そうよ。その度に航空局の試験官が来て、
気が遠くなるような試験を
受けないといけないの。大変よね。

技能証明の種類(パイロット)
自家用操縦士
事業用操縦士
定期運送用操縦士
計器飛行証明
操縦教育証明


技能証明の種類(その他の乗組員)
航空機関士
一等航空士
二等航空士
航空通信士
*「航空士」と「航空通信士」は、現在飛行機の
ハイテク化が進み、乗務している者は居ないので、
有名無実化している。又、航空機関士(FE)
もかなり減少している。

技能証明の種類(整備士)
一等航空整備士
二等航空整備士
三等航空整備士
航空工場整備士



























































右が日本のライセンスです。
表紙は皮張りで、結構立派な物だったんだけど、
最近アメリカの真似をして、ペラ紙の
ライセンスになっちゃいました。
どっちがイイかは、意見の分かれる所よね。
この青いのは?
あ、それね。それはさっき話していた
「航空身体検査証」よ。
二種類有って、
事業用が「第一種航空身体検査証」で青、
自家用が「第二種航空身体検査証」ピンクなの。
後、もうひとつ。
航空機の操縦をするのに、無線機は
絶対必要不可欠な物なんだけど、
これにも免許が有って、パイロットは
必ずこの資格を取得しないといけないの。
えー?
詰まり、無線の免許を取らないと
いけないんですか?
その通り。
航空機の「技能証明書」は運輸省航空局の
管轄なんだけど、この無線免許は
郵政省電気通信監理局の管轄なの。
どんな免許なんですか?
そうね、主に二種類の免許が存在するわ。
一つ目は「航空特殊無線技師」。
これは少し用途が限定されている免許で、
取得も比較的簡単です。
自家用機に乗るなら、これで十分ね。
もうひとつは何ですか?


もう一つは「航空無線通信士」という資格なの。
これは航空に関してはオールマイティーな資格
で、無線の通信以外にも、レーダーの操作等も
行えるの。パイロットだけでなく、管制官も
この資格を取得します。この資格が無いと、
パイロットは旅客を乗せて飛行できません。
・・・・って事は、それを取るのは・・。
「航空特殊無線技師」に比べると、
格段に難しいわね。
英語筆記やヒヤリング試験も有るしね。
たははー、やっぱし。
つまり、パイロットは
@技能証明
A航空身体検査証
B無線免許
の3つを持って乗務しているんですね。
そういう事。
車の免許なんか、それ一枚でいいのに、
パイロットってナントモ
ご苦労な仕事ねー。
そうねー、気苦労が絶えなくて
頭の薄い人も多いわよね。
おいおい(笑)


それじゃ〜、又ね〜!